室温
私から出た熱がそのままこの部屋の温度になった。
今日も何も何にもできなかったなぁ、と外の暑さでカサカサになった手の甲を擦りながら言う。
暑さでのたうち回るのは逆効果だ。身体の熱を放出して、上へ上へと昇っていくことに期待することだ。
気体は対流をして時間をかけて均一になっていくのだろうか。
熱にはパワーがある。
誰もがそのパワーを取り合っている。
でも私の熱を取り合うものはどこにもない。
行き場をなくして、部屋の天井にぶつかった。天井に温度が溜まっていく。ぐぅぐぅ寝続けたのなら、熱は部屋の壁を伝って私の元に帰ってくるのだろうか。帰ってきた熱を、拒絶する私に。
私から出た熱が、開けられた窓から網戸を通り外へと流されてゆく。
今日も何も何にもできなかったと愚痴をこぼす。
寝る前はしっかり、体の熱を逃すと良いそうだ。
外の気温がそのままこの部屋の温度に置き換わっていく。
誰にも求められない私の体温が、街へ繰り出し彷徨い続けている。
起きる頃に、起きてしまう頃には私の元に帰ってきてくれるだろうか。
室温