運命への愛はない
運命は扉を叩かない、
不穏な響きで這い寄らない、
それ 不意に立ち止まりふりかえれば、
在ったような 無いようなものでしかないものだ。
時々くらいは考えてもみるが、
ぼく、自責と内省にいそがしい、惨め極まる理想家で、
わが居場所、指で叩いて確認しない。いったい何の意味がある?
知らずに介する不可視の宿命、ぼく、シニカルな眼を投げるのみ。
愛すべき理不尽はわが身打つ、
不安な亀裂の響きはまるで脳髄を喰い荒らす、
これぞ わが理想の女性、ぼく惨め極まる観念家、
けっしてわたしを愛さない、絶対の硬く冷たい女神、
玲瓏に燦る照り返し ぞっと立ち込む吹雪の風景、
貴様を幾度も打ってやる、歌の弓矢を引いてやる、
死にたいぼくは、まるで貴様から産み落とされた、
幼児の乱痴気 貴様を叩いて撥ねては踊る、これぞぼくの運命だ。
運命への愛はない