真似人
少年は私に向かって言った。
「僕は、君が未熟者だって分かるよ。」
「私が未熟者? どうして?」
「君のことを前にも見たからだよ」
少年はそう言ったけれど、私が彼と出会ったのはこれが初めてだった。少年はがれきの上に座って、私をじっと見つめた。
「私はあなたを見たことなんかないよ」
「そらそうだよ。僕は僕を見つけていないんだから。君は君を分かった気でいるだろう? それは君を分かったことにはならないよ。君は誰かのマネをしてるだけなんだよ。だから僕は見たことがあるんだ、君を、どこか違う場所で。僕が知ってる大人の人は、みんな初めて見る顔だった。」
「まあいいや」私はそう言った。
・・・
真似人