五月雨の恋(2022年版)新作短歌集
一人寝の寂しき女のひとりごと
叶わぬと知りつつ絶てぬ我が想い
五月雨の音に隠れてむせび泣く夜
世に咲けど陽浴びることなく泣き濡れて
枯れ行く花の心悲しや
しがらみの庭に咲きたる花ゆえに
摘む人なくば褪せて果てなん
気丈夫な いにしえ人のかのごとく
振り捨て行けば結ばれしものを
短き夜 蛍を追いし思い出の
河原の風に吹かれ涙す
ふと指にとまりし蛍よ願わくば
その恋の灯をあの人の胸に
一夜での恋を結びて露に消ゆ
蛍の心根うらやむ夜半かな
今宵また哀しき夢に目覚むれば
枕に響く五月雨の音
五月雨の恋(2022年版)新作短歌集