けがれなければ…


「けがれなければ、生きぬけやしない」、と──
 喉をふるわせ、生きる決意をした少年のあなたには、
 むしろ眸に、清廉な湖がたたえられていたようでありました。

 少年よ、安心して現実に跳びこみ、けがれる覚悟をせよ、
 すべて一途な命の迸りには、真正直な、澄んだ声があるのです。

 わたしは少年のあなたの、これからのくるしみを想って、
 身を折る気持に沈みながらも、けがれる覚悟を褒めましょう、
 されば眸の純粋を、苦痛の陰翳の真中で、閉ぢ守れと祈りもしよう。

 わたしよ、くるしんででも生きるのだ、たとい生きてでもくるしめよ、
 死際の、鶴の如き断末魔──それ曳き摺って、生きる路さえあるようです。

けがれなければ…

けがれなければ…

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-06-17

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