幻肢痛
ごみ箱に日付が溢れていた
永遠の日の前の夜にわたしは
しずかにアパートの前で
ビニール袋にいれて身体をすててた
続くなだらかな丘 水溶性の温度
接点をなくして切り離された風景がきしむのを痛まないように撫でているあいだの風はわたしを慰めるようだった幻肢痛あの木の枝が意識の外側で叫んでいる。
重い星に引き寄せられるように光がこぼれ出し永遠の日には透明なぬくもりを思い出す
その頃ごみ収集車のなかで
傷んだ肉体が目をあけて
呻きはじめていた
住所がない、佇むままに空をかき混ぜることしかできない風がいくつあっても声にならないおはようを、きみのために叫んでいたかった。
幻肢痛