祈り

 わたくしのゆいいつの祈りは、
 わが虚栄の肉、ついに報われないことによって、
 どこまでも、わが魂が報われることであるのです。

   ああ 虚栄が満たされないという、
   裏返しの虚栄心だ、それわたくしのにくしむ不潔なもので、
   自己憐憫なければ存在不可能、犬死は充分有意味です。

 わたくしの肉は金属片さながら剥がされ、
 魂の背に負う雪の衣装、星屑のように降る喜びに、
 ややずつ白く降り積もり、満たしてくれればそれで佳い。

   されど魂なんてあるかしら、
   それ不在としてめざめてる、実在とし睡ってる、
   虚ろな翳を抱き眠る、幾夜はなんにも降りません。

 ああ わたくしの祈りはなにかしら、
 無化の生にも意味はあること、無化の人にも光あること、
 ああ そんならわたし、魂を──信じているのじゃないかしら。

祈り

祈り

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-06-14

Copyrighted
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