BREAK6
「あのさ」
「何?」
「この間一緒にご飯食べに行った時に好きって言ってくれたでしょ? だからこれ使ってくれないかなと思って。いつも使ってる抱き枕なんだけど…」
「え?」
恥ずかしそうに差し出されたそれを、勿論僕は持ち帰った。
彼女のセミロングの黒髪から漂うシャンプーの甘い香りを思い出しながら、ちょっと大胆な行動に感謝しながら、いそいそと紙袋から引き擦り出すと珍妙な代物が現れた。
「なんだ、こりゃ?」
透明なビニール袋に入った枕は凹凸のある細長い棒状で、表面には串に葱と鳥肉が刺さったネギマが描かれている。
もっとかわいらしい、いかにも女子が好むようなデザインを想像していたから思わず吹き出した。
なるほど成程。こういう新しい一面を見られるのも嬉しいじゃないか。
僕はビニールを破っていきなり抱き着いた。
「ああ、なんていい香りなんだ」
……旨そうな香ばしい焼き鳥の匂いが僕の全身を包んだ。
ああ、確かに僕も大好きだって告白したな(泣)。
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