朝景色

 繭のなかで、あざやかにねむっていてね。
 まぶたのうらには、きみたちが色づく季節。
 地球のうらがわの、夜と朝のはざまで、ゆりかごにゆられながら、本を読んでいる少女。
 わたしのからだに植えつけられた、花の種が芽吹く頃には、おだやかな拍動に甘やかな熱をあたえて。夏。

 たたかっている。ひとたち。
 だれかと、もしくは、じぶんと、いきるために、きずつき、きずつけあっている。この星の生命体。永遠につづく祈りにも似て。

(あれは、幽霊船)

 海をみていた、せんせいが指をさしたところに浮かぶ、ぼんやりかすんだ、船。そのむこうには、わたしのしらない世界がある。 そこは楽園? はたまた、地獄? せんせいとわたしは、せんせいがいうところの幽霊船を横目に、歩き出す。近くの喫茶店で、モーニングの、あずきバタートーストをたべるために。

朝景色

朝景色

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-06-08

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