アラスカ

アラスカの家に行く時いつも、本屋に寄る。
アラスカの家に行く途中に本屋があるからだ。
何冊か立ち読みするけれど、これといって興味をそそる本はない。
自分が本を買う時は、自分の中の相当高いハードル、ではなく、ただただ読みたい、と思った時だけだ。
だからそれらの本が文庫本になって帰ってきた時、それが並べられているのを見た時、とても嬉しくなる。
本屋に寄るのはアラスカの家に行く途中にあるから、ではなく、本屋に行くついでにアラスカの家に寄っているから、かもしれない。

世間は世界は地球は自分は、コロナによって大きく変えられた。
でも、変わらないものを探すほうが、もちろん簡単で。
だったら自分が思ってるほど何も変わってないんじゃない?
そんなことはない。
マスクのおかげで美男美女が増えた。
飲食店のテーブルに透明なボードや仕切りが設置された。
あとは、、どうだろう?
アラスカの家に着いて、アラスカがマスクをした自分を見て言った第一声が、「カゼヒイタノ?」だった。

アラスカは部屋の電気をつけずに、テレビでアフリカのユーチューバーのチャンネルを観ていた。
もう夕方過ぎだったので、部屋は結構暗かった。
アラスカはいつも言う、「アフリカノオンナトケッコンスレバ?タノシイヨ、シアワセダヨ」今日もそう言った。
「キョウハローワークニイッタ。モウヒトツバイトシタイ。ヤスミチュマンナイ、ヤスミチュマンナイ。シゴトシタイ」
自分はコロナの影響で一度失業したが、また現在働いている。
だけど、休みたい。
働きたくない。
こんな風に気軽に、アラスカの家に来たい。

アラスカはいつも食事を用意してくれる。
アフリカの男はみんな料理ができるらしい。
アラスカの料理は本当に美味しい。
アラスカが店を出せば流行るだろうな。

いつも料理を食べ終わるとすぐ自分は帰る。
その時いつもアラスカは言う、「モウカエルノ?」今日も言った。

コロナは全てを変えた。
全てを支配した。
身動きが取れない。
呼吸がしづらい。
あと何年続くだろう。
コロナが終われば本当に元に戻るだろうか。
動悸が激しい、死にたくなる。


なんでだろう、アラスカ

アラスカ

アラスカ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-06-08

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