SS53 怖い
真知子は思わず自分の肩を抱いて擦った。
「怖いわ怖いわ。本当に怖い」真知子は思わず自分の肩を抱いて擦った。
「あの人これからどうなっちゃうのかしら?」カーテンの隙間から外の様子を伺うと、数人の男たちが連れ立って歩き出す所だった。
やがて人影が絶えると、気が抜けた真知子は何も置かれていない部屋に一人へたり込んだ。
向かいの住宅から俯いて出て来た男性の顔が頭を過ぎったが、消し去ろうと何度も頭を振った。
右の頬が腫れていた。唇にも血が滲んでいた。ひと悶着あったのは明らかだ。
別に部屋を借りておいてよかった。
「……連帯保証って本当に怖い」
「ごめんなさいね。マイダーリン」
SS53 怖い