ブラックバード
私の魂の病める華奢な枝先に
翼をもった、愛らしい「希望」が留まりました──
まっくろに澄み、めざめるような小鳥です、
なべてを抱き虚空を照らす、またと顕れぬ小鳥です。
その子、淋しげな短調で歌います、
銀と群青の夜空に満ち満ちるような、いいえ、
夜空のそれと おんなじ淋しさを歌うのです、
時々 それ背負うがように、星々蒼く照りかえすのです。
交じることをやめた その色彩は、
歌えば歌うほどに 黒は清み、一切を抛らんとし、
ただ 無き処へ飛び翔っては、幾度も墜落するのです。
ひとはそれを「絶望」の色だといいます──
されど嘗ての地獄で視かけた かの小鳥、
私には希望と映った──「犬死」と名づけられたそれをです。
ブラックバード