ブラックバード

 私の魂の病める華奢な枝先に
 翼をもった、愛らしい「希望」が留まりました──
 まっくろに澄み、めざめるような小鳥です、
 なべてを抱き虚空を照らす、またと顕れぬ小鳥です。

 その子、淋しげな短調で歌います、
 銀と群青の夜空に満ち満ちるような、いいえ、
 夜空のそれと おんなじ淋しさを歌うのです、
 時々 それ背負うがように、星々蒼く照りかえすのです。

 交じることをやめた その色彩は、
 歌えば歌うほどに 黒は清み、一切を抛らんとし、
 ただ 無き処へ飛び翔っては、幾度も墜落するのです。

 ひとはそれを「絶望」の色だといいます──
 されど嘗ての地獄で視かけた かの小鳥、
 私には希望と映った──「犬死」と名づけられたそれをです。

ブラックバード

ブラックバード

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-06-06

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