木曜日ノスタルジー

かつて僕は絵に描いたようなノスタルジーの中にいた
すべては僕の傍ににあった
けれども僕の手はそのどれにも届かなかった
 
ありとあらゆるものは幻影だった

幻影は凄くリアルに感じられ
僕は何ひとつ疑わずにただ自由を、 
自由と思われる感覚を謳歌していた

僕は子どもだった

大人たちが丹念に作り上げたノスタルジーの中で
僕は常に守られて生きていた
自由を感じながら生きていた

同じような幻影を僕は
自分の子どもに見せることができるのだろうか

つまり僕は
大人になれるのだろうか

木曜日ノスタルジー

木曜日ノスタルジー

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-06-02

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