木曜日ノスタルジー
かつて僕は絵に描いたようなノスタルジーの中にいた
すべては僕の傍ににあった
けれども僕の手はそのどれにも届かなかった
ありとあらゆるものは幻影だった
幻影は凄くリアルに感じられ
僕は何ひとつ疑わずにただ自由を、
自由と思われる感覚を謳歌していた
僕は子どもだった
大人たちが丹念に作り上げたノスタルジーの中で
僕は常に守られて生きていた
自由を感じながら生きていた
同じような幻影を僕は
自分の子どもに見せることができるのだろうか
つまり僕は
大人になれるのだろうか
木曜日ノスタルジー