あらゆる地表で

あなたと生きていくことで
わたしの歩幅はどんどんやさしくなっていく

わたしは今日、何時間もずっと公園にいた
匿名の悪意に触れ続けて疲弊していた
あなたを心の中で呼び出す必要があった
ベンチに座ってずっと集中していると
あなたのあらゆる表情を思い浮かべることができた
もちろん笑顔がいちばん好きだけれど
笑顔だけでは悪意に太刀打ちできないのだ
子供たちはよく走り、よく転び、よく泣いていた
大人がひとりでずっと公園に居続けるのはまずいかと思ったが
誰からも咎められなかった
ひょっとすると
わたしはもう死んでいるのかもしれないな

あなたと生きていくことで
わたしの歩幅はどんどんやさしくなっていく
そういうことが
この世のあらゆる地表で
起こっていてほしいと思う

あらゆる地表で

あらゆる地表で

詩誌『月刊ココア共和国 2022年6月号』(電子版)に佳作として掲載された詩作品です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-28

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted