ハイリ ハイリホ(8)

二―四 僕

 ほら、ちゃんとパパが細かい芸をしてくれる。なんだか知らないけど、パパがパパ足る確証を掴んだみたいだ。訳が分らないまま怒っているパパはいやだ。すべてじゃないけど、少しは僕の言い分を聞いて欲しい。僕の我ままにある程度付き合ってくれるのもありがたいけど、何でも素直にハイハイと聞いてくれるのも少し物足りない。僕は、その点、贅沢なんだ。
 およそ三万日の地球旅行のうち、パパと暮らせるのは二万日。そのうち、こうして顔をつきあわせていられるのは、僕が小学生の時の二千日ぐらいだろう。中学生になれば、友だちとの付き合いが増えるし、今まで以上に難しくなる勉強や読書、音楽の趣味など自分と向き合う時間が増えてくる。パパからだんだん離れていく。共に住んでいながら、やがて来る別れ。成長に伴う家庭内別居。パパ、今のうちに、できるだけ一緒に遊ぼうよ。
「知らないよ、友達の家から帰ってきたら、パパが大きくなっていたんだ」

ハイリ ハイリホ(8)

ハイリ ハイリホ(8)

パパと僕の言葉を交わさない会話の物語。二―四 僕

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-17

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