CROWNJOKER
岡本ゆうた
372分の1ゲーム
ある日突然…私の元に妙な男からメッセージが入った。男の名はCROWNJOKER。現在行われてる訳のわからないゲームの主催者である。
??「ノア起きなさい」
ノア「ん…??」
ノア「なに?お母さん?」
母「なに?じゃないでしょ?あんた今日学校よ」
ノア「…がっ…こう??ってわぁ」
ノア「忘れてた!!ほんとに学校じゃん!?」
母「もう?ほんと抜けてるわね?支度して下に降りてくるのよ」そう言うとノアの母親は下に降りていった。
私の名は…(藤井乃愛)ごく平凡な女子高生だ。私は都内の高校に通い…平凡な家庭で育った女のコだ。この頃までは学校が楽しかった。あんなメールが送られてくるまでは…。
??「皆さまお集まり頂き真にありがとうございます。」
??「私の名は本ゲームの主催者の一人である…滝川と申します」
滝川「本日皆様に集まってもらったのは他でもない」
滝川「CROWNJOKERの為でございます」
滝川「現在…我社が所有する特設フロアで1つの催しが行われております」
滝川「その名も372分の1ゲーム」
滝川「ルールは簡単でございます。我社が主催する映画館で…ラビットケージの隣の席に座る人物が誰かを当てて貰うだけです。」
滝川「ラビットケージには予め決められた62席の座席の中から1つを選び映画の半券を買って頂きます」
滝川「プレイヤーたちはラビットケージが座る座席の隣の席の半券をあらゆる方法を駆使し入手して頂きます」
滝川「但しこの時こちらで予め決めた座席が埋まっていた場合ラビットケージはランダムで移動し開いている座席に座ります。」
滝川「この時の座席の位置をピタリと当てた場合は通常時の報奨金の5倍に膨れ上がりプレイヤー1人1人のオッズも10倍へと跳ね上がります」
滝川「買収…恐喝…自身の肉体を使い男を誘惑する。何でもありでございます」
滝川「我々は参加する12名のプレイヤーの内誰がラビットケージの隣の席に座るのかを当てるだけの簡単なゲームでございます」
滝川「映画の上映本数は6本。…その中でラビットケージが買う半券は1枚のみ。つまり372席の座席の中からラビットケージが座る座席が何処なのかも推理して当てて頂きます。見事当たった方には別途で1000万リラが支払われます」
滝川「それではこちらがゲーム参加者のプレイヤーの名簿です」
参加者一覧
(藤井乃愛)(愛澤えみり)(浜谷美波)
(坂松菜奈)(森岡レナ)(松田るあ)
(森川ミア)(マリー)(淺谷美伶)
(エンリカ)(Monrika)(櫻井ののか)
滝川「準備は良いですね?」
滝川「それでは只今よりBET開始でございます」滝川がそう言った瞬間に…参加者たちが一斉にボタンを押し始める。
数秒後…♪♪♪♪♪
1位(松田るあ)
2位(坂松菜奈)
3位(淺谷美怜)
4位(森岡レナ)
5位(浜谷美波)
6位(Monrika)
7位(マリー)
8位(愛澤えみり)
9位(藤井乃愛)
10位(エンリカ)
11位(森川ミア)
12位(櫻井ののか)
滝川「おおっとこれは驚きましたね?何と松田さまが1位でございます」
滝川「続いて2位に坂松さまが座り淺谷さまが3位に付いております」
滝川「これは混戦ですねぇ~?」
滝川「それではゲームSTARTです」
その頃…このCROWNJOKERの参加者である愛澤えみりは荒れに荒れていた。
えみり「あのクソ豚がぁ…!!?」そう言うとえみりは灰皿を壁に投げ付ける。
??「えみり落ち着けって!!」
えみり「落ち着いてなんかいられないわよ。この私が…あんな底辺のクソ豚に馬鹿にされたのよ」
??「そんな事言っても彼に悪気はないかもしれないじゃないか?」
えみり「何処がよ!!??あるに決まってるじゃない?」
理由は少し前に遡る。(SB)と言われるSNSを見ていた時だ。スマホの画面をスクロールするえみりの目にとある人物の投稿が目に止まる。
えみり「なにコイツ??」
えみり「あの伝説のNo.1キャバ嬢落とせなかった男?」
えみり「はぁ…?てめぇなんか知らねぇーよ。ふざけんな!!!ブスが!!?」そう言うとえみりはスマホを投げ付ける。
えみり「何がトートバッグで我慢しろなのよ?ふざけないでよ??」
えみり「あんたみたいなクソ豚に私がどうにかなると思ってるの!!!??」えみりはそう言うと喚き散らしながら…壁を殴り付ける。
そんな事があってから数週間が過ぎた頃…愛澤えみりの元に1通のメールが届いた。差出人の名前はCROWNJOKERと記載されており…そこにはゲーム参加の告知と書かれていた。
手紙にはこう記されていた。
おめでとうございます。愛澤さま…貴方は我社が主催するゲームのプレイヤーとして選ばれました。貴方がもしもこのゲームで優勝した場合…10億リラの報奨金が支払われます。尚辞退される場合は1週間以内に…我社までご連絡下さい。
0120-☓☓☓−192(CROWNJOKER)本部より。
手紙を読んだえみりは青ざめたが…少し考えて息を吐いて考え込み始める。
えみり「10億リラならやってもいいけど?何か胡散臭いわね?」そう呟いて一口飲み物を飲むと…天井を見積める。
えみり「あんな奴に馬鹿にされたまま私の人生終わっていいの?」
えみり「絶対ダメ」そう呟くとえみりは決心したように…部屋を出て行った。それから少ししてえみりはゲームに参加する事を決めたのである。
時を同じくして…このゲームの参加者の1人。森川ミアは眉をしかめながら手紙を読んでいた。
森川ミア「何なのよ?これ?」
森川ミア「意味わかんないわ」そう言うと森川は手紙をゴミ箱に投げ入れようとする。その時だった。
??「嬢ちゃん…そいつはよした方が良いぜ」
森川ミア「あんた?誰?」
??「誰でも良いだろ?そんな事。それよりそれ。捨てんなよ」
森川ミア「はぁ…??何でよ!!?」
??「さぁな…俺にもわかんねぇ。」
??「つか、いらねぇならそれくれよ」
森川ミア「良いけど?別に私にとってはこんな物いらないから」
??「交渉成立だな?んじゃ今から作戦会議と行こうか?」そう言うと男は森川の手を取って足早に歩き始める。
森川ミア「ちょ…ちょっと何言ってるのよ!!離しなさいよ。ねぇ!ねぇったら」
??「うるせぇーよ。ついて来りゃわかるさ。森川ミアさん」
森川ミア「何で?私の名前知ってるのよ?」
??「さぁ?何でだろうな?」
その後…男はとある部屋の1室に入ると話し始める。
??「あんたが捨てようとしたこの手紙はCROWNJOKERの参加告知だ。」
森川ミア「んな事知ってるわよ。読んだから」
??「はぁ…バカだな?お前?手紙読んで捨てようとしたのか?」
森川ミア「当たり前でしょ!!?こんな事して私に何のメリットがあるのよ?」
??「ここに書いてあんだろ?それにこいつはある意味ではチャンスでもあるのさ」
森川ミア「何のよ??」
??「奴らに近付く為のさ」そう言うと男は胸からとある物を差し出す。
森川ミア「警視庁捜査一課(森友淳平)?」
森友「森川。捜査に協力して欲しいんだ?」
森川ミア「はぁ??できる訳無いでしょ?そんな事?あんたそれがどういう意味か?わかって言ってんの?」
森友「わかってるさ。だがこれしか無いんだ!!」そう言うと森友は事情を森川に話し始める。数十分後話を聞いた森川が呟く。
森川ミア「…わ…かったわよ」
森友「本当か?」
森川ミア「ええ!!!ほんとも本当よ!!けど今回だけだからね?」
森友「恩に着るぜ!!森川」そう言うと森友はこれまでの経緯とこのゲームの事について喋り始めた。
森友「俺がこのゲームの存在を知ったのは10年前の事だ」
10年前(2012年)東京歌舞伎町
??「お兄さん…どうですか?1杯飲んで行きませんか?」
森友「いや…遠慮しておくよ」
??「そんな事言わずに一杯だけ」しつこく聞いてくるキャッチの声を無視しひとけの無い場所に逃げ込んだ森友は…怪しい2人組の会話を耳にする。
??「それで…今回の参加者は誰なんだ?」
?「伊東…吉川…堀井を含めた24名です」
??「24人か?多いな?」
?「まっ誰が勝ってもJOKERが得をする事だけは間違いない」
??「だな?それよりここはまずい場所を移そう」
?「OK」そう答えると男たちは足早に何処かへと消えて行った。その後…森友は2人組について調べた。男たちの名はジェフとマックスという外国人だった。
森友「心の声(奴ら外国人にしては日本語が上手かったな?)」そう心の中で呟いた森友はタバコに火を付けて考え始める。
森友「心の声(ジェフ・ベック25歳…1997年2月10日イギリスで生まれて15歳までを母国で過ごした)」
森友「心の声(その後…高校へは行かずに地元の企業で務めたが僅か1年半足らずで退社。20の時に日本に来て英語講師として暮らし始める)」
森友「心の声(マックス・ボビー・ゲイル‥日本において…アフリカ人の父親とアメリカ人の母親との間に生まれる。)」
森友「心の声(9歳の頃…両親は離婚し母の祖国であるアメリカへと引っ越す。その後18歳までを米国で過ごし23歳の頃に再び留学生として日本に来て現在に至る)」
森友「まぁ…この経歴なら当たり前か?」そう呟いた森友はタバコを灰皿に捨ててコーヒーを飲み始める。
コーヒーを飲み終えると部屋のソファーに腰掛けてTVを付ける。
??「えぇ~私は現在事件の現場となったビルの1室に来ています。」
??「周囲は凄惨な事件の跡を物語る様に焼け焦げていて…このビルの1室で9人の人間が死んだとの事です」
?「LiSAちゃあーん?聞こえる?」
LiSA「はい?何でしょうか?船井さん?」
船井「報道によると…男が突然ビルに…」TVからそんなニュースが流れていたのを森友は眠けまなこで見ながら考えていた。
森友「心の声(確かあそこは?あの2人組が出入りしていたビルだよな?)」
森友「この事件?何か変だぞ?」そう言うと森友は部屋を飛び出して…とある所へ向い始める。
その道中での出来事だ。CROWNJOKERと書かれた1通の手紙をゴミ箱から拾ったのは…その手紙にはジェフ・ベックという名前がハッキリと刻まれておりそれ以外の文面は破かれていたが…森友は何かを直感し手紙を火で少し炙ってみた。
すると…名前の横にうっすらと♠の3と書かれていた。これが何を意味するのかはわからない。だがJOKERという名前の響きからしてトランプと関連してる事だけはわかった。
森友「ふーん?JOKERにスペードねぇ?トランプかよ!!?」森友はそう呟きその場を後にすると先程感じた違和感を探り始める。
森友「やっぱりだ…」森友はポツリとそう呟くとその場を後にして家に帰った。
それが森友がCROWNJOKERを知ったきっかけだった。森友は意味深な顔で森川にそう言うとタバコを口に加えてふぅー…っと息を吐く。
森川ミア「あんた?何を知ったのよ?」
森友「このゲームの主催者の意図さ」
森川ミア「主催者の意図??」
森友「そっ!!手紙に印字されていた数字はあんた自身を現してる」
森友「例えばあんたの場合は…◆の10。こいつはこのゲームにおいてのあんたのオッズさ」
森川ミア「オッズ?」
森友「つまり…あんたがこのゲームで買った場合当てた人間に賭けた額に対して10倍の配当が支払われる仕組みさ」
森川ミア「ん?ちょっちょっと待って当てた人間ってなに?」
森友「そのまんまの意味だよ」
森友「まぁとかくその辺のことはあんまし気にすんな」そう言うと森友はタバコを灰皿に捨てて立ち上がる。
森友「さてと…行くか?」
森川ミア「何処によ??」
森友「あんたのスポンサーを探しにさ」そう言うと森友は部屋を出て行こうとする。
森川ミア「はぁ…??意味分かんないわよ?なに?スポンサーって?」
森友「はぁ…面倒くせえなそこまで説明しなきゃなんねぇのかよ」
森友「とにかく来いよ」そう言うと森友は森川の手を強引に引っ張って部屋を出た。
それから数週間が過ぎ現在に至る。という訳である。
坂松菜奈「心の声(ラビットケージが買う可能性のある半券は372枚…その中からラビットが座りそうな場所は?)」
坂松菜奈「心の声(LかMの25番か26番)」
坂松菜奈「心の声(ただこれは私の予想だから何処かに確証がある訳じゃない)」そう心の中で呟くと坂松は現在手にしてる映画の半券の枚数を数え始める。
坂松菜奈「心の声(1‥2)」
坂松菜奈「32枚か?」そう呟くと坂松は空を眺める。坂松が持っているのは友人や知人に駆けずり回って手にした映画の半券である。
ちなみに1枚1800リラ×32=57600リラ分である。そんな坂松が取った作戦は…A~Pまでの24番を縦に16列とA~Pまでの27番を縦に16列埋める作戦である。
この配置なら彼が…映画館に入れば20番台の何処に座っても…坂松が勝てる。ただ一つ問題がある。映画の上映時間である。坂松が買ったのは最も人が活動しやすい15時10分の時間。この時間帯の映画にラビットケージが入室しなければ…坂松が買った半券は全て無駄になるのである。
ちなみに以下が6本の映画の上映時間である。
A(10:00)B(12:35)C(15:10)
D(16:45)E(17:50)F(20:30)
坂松菜奈「何とか当たると良いけどあとは運次第か?」坂松はそう言うと…ミルクティーを飲む。
その頃…櫻井ののかは金に物を言わせて買収しまくっていた。いやというより恐喝していた。
?「ひっうう許して下さい」
櫻井「許せる訳ないでしょ?あんたが私にした事覚えてる?レイプよレイプ。」
櫻井「このままだとあなた確実に捕まるわよ」
?「どーかそれだけは…」そう言うと男は土下座して野の花に謝罪する。
櫻井「はぁ?あんたそんな事で私が許すと思ってるの??」
?「お願いします。お願いします。何でもしますから」
櫻井「そぉ~ねー?1つだけ方法が無くはないわ」
?「ほんとですか?」男がそう答えると野の花は耳元で何かを呟く。
?「…え!!?そんな事して何の意味が?」
櫻井「うっるさいわね!!?捕まりたくなかったらとっとと動きなさいよ!!?」
?「ひっわわかりました(汗)」男はそう言うと大急ぎでHOTELを出て…とある所へと向かう。
??「野の花さんやり過ぎじゃないですか?」
櫻井「それよりリスト持って来て」
??「かしこまりました」そう言うと男性は何かを持って来る。野の花は男性が持って来た物を手に取ると呟く。
櫻井「さぁ~てぇ次にカモになりそうなやつはどいつかしらね?」
櫻井「この田西って男誰だったかしら?」
??「3年前に1度来た客ですよ。」
櫻井「3年前かぁ…んじゃ使えないか?」
??「いやそうでも無いですよ。この男…まだ連絡先変えてませんから」
櫻井「本当なの!!?それ?」
??「ええ…この間別の店舗に電話をかけようと思ったら間違えてそいつの番号にかけてしまったんですが…その時は確かに電話は生きてました」
櫻井「ふーん?なるほどねぇ?」そう呟くと野の花はワインを手に取るとグイッと飲み干す。
櫻井「決めたわ!!?そいつに電話をかけてちょうだい」
??「え…っと田西にですか?」
櫻井「ええそうよ」そう言うと野の花はニンマリ笑う。
その頃…淺谷は突然の出来事に困惑していた。
??「美怜すまない!!!?」そう言い頭を下げるのは淺谷の旦那である翔平
美玲「ど…どうしたの?翔平くん」
翔平「映画の半券…買えないんだ?」
美玲「何で??」
翔平「それは…」
美玲「誰かと寝たの?」淺谷にそう聞かればつが悪そうな顔をする翔平
美玲「そうなんだね?相手は誰?あっちゃん?あっちゃんが相手なの?ねぇ!翔平くん」
翔平「……」
美玲「何とか言ったらどうなのよ!!?」
翔平「悪かった…!!?」そう言うと翔平は…足早にその場を立ち去る。
その様子を傍から見ていた1人の女が声をかける。
??「あっはは(笑)みれいちゃんやられたね?」
美玲「なに?わざわざ私を笑いに来たの?」
??「そんな事ないよ(汗)ただ僕はみれいちゃんにこれを渡す様に頼まれただけ」そう言うと女は1枚のメモを淺谷に渡す。
美玲「…」淺谷は無言で受け取るとメモを受け取り内容を確認する。
美玲「松田さんはもう110枚の半券を??どんなマジック使ってるんだろう?」
??「さぁ~ねぇ!それは僕にもわからない。それより…今回はどうなんだい?」
美玲「どうって…??別にいつも通りの方法で勝ち上がるだけよ」淺谷はそう言うと…紅茶を飲み干す。
??「ふーん??なるほどねぇ?それより追わなくて良いの??よっぽどまずい事案に巻き込まれてるみたいだよ」
美玲「貴方には関係ない事でしょ!!?」そう言うと淺谷は少し声を荒らげその場を立ち去る。
その頃マリーは少し迷っていた。というのもスクリーン1の座席状況を確認すると…1回目2回目共にサイドの席が埋まっていた為である。
マリー「これだと…私がラビットケージの隣の席に座るのが無理になる」
マリー「どうしたら良いんだろう?」そう呟くとマリーは券売機の前で少し悩む。少し考えてマリーは決断する。
マリー「よしっ!!?こうなったら」そう言うとマリーは…ラビットケージが本来座るはずの62の座席を埋め始めた。マリーの動きを察知した叔父様たちも一斉に座席を埋めていく。ラビットケージが座る筈だった座席はA~Pまでの16列ある28番と11番A~Oまでの15列目までの31番と8番である。
サイドが埋まってる事をみたマリーは62席の座席を埋めて…中央に誘い込む作戦にシフトしたのである。
ちなみにマリーが半券購入に必要な資金をどこから工面しているかというと…主にマリーファンの叔父様たちから提供された物である。
※また映画の半券は劇場のチケットカウンターでは通常お一人様のご購入枚数に制限はなく…舞台挨拶などイベント上映では、購入枚数制限を設ける場合があり今回はイベントの為1人に付き10枚まで
その頃…マスタールームと呼ばれる1室ではスポンサーたちが近況を確認していた。
??「森川は予定通りに動いているな?森友」
森友「ええ!!蓮さんこちらの作戦通りですよ」森友がそう言った人物は森川のスポンサーで名前を不動連と言った。
森川のオッズは10.0で12人中…下から3番目の数値である。そんな森川に目を付けたのが不動蓮という男性で彼は金融会社の社長だった。
森友「蓮さんこれを見て下さい」そう言うと森友はとある資料を不動に見せる。
森友「現在中央1択の15議席で後のないように見える森川ですが…実際はそうじゃありません。」
森友「スクリーン4番の2本の上映で既にサイドは淺谷…森岡…浜谷…愛澤…Monrika‥エンリカの6名が抑えており…このまま行けば…森川が負ける事は間違いないでしょう?」
森友「ですが…勝負はここからです。」そう言うと森友は1枚のカードを取り出すと…マスタールー厶にある装置にセットする。
数秒後…装置が光り始めて埋まっていた筈の座席番号が消え始める。
ゲーム会場(特設フロア12F)C塔
森川ミア「来た来た!!?あんたたち買い時よ」森川のその合図で券売機の前に人がなだれ込み一斉に券を買い始める。
彼らは不動蓮の部下の男性たちで森川の仲間である。
森川たちは空席になった座席を金に物を言わせて買いまくり…見事に票をひっくり返した。その結果全てのサイド席は森川票に変わり…エンリカたちのチケットが無効に変わった。
森川ミア「にひぃっあっははは(笑)見たか!!?あの海砂利メス女め。この私の実力を」森川はそう高々に笑い…中指を立てて挑発するようなポーズをとる。
そんな事があるとも知らない愛澤えみりは呑気にワインを飲んでいた。
??「えみりさん大変です!!?」
えみり「どうしたのよ?そんなに汗だくになって?」
??「見て下さいこれを!!?」そう言うと男はとある物を見せ付ける。
えみり「誰がやったの?これ?」
??「森川です」
えみり「あのクソ女舐めてんの?こっちが死ぬ思いで取った議席何だと思ってるのよ!!!」そう叫ぶとえみりは悔しそうな表情を浮かべる
?「えみり落ち着けって!!?」
えみり「落ち着いてなんかいられないわよ!!」えみりはそう言うとワイングラスを壁に投げ付ける
ガシャンっ♪♪♪♪
?「はぁ…たっくお前なぁ大人なんだから少しは自制しろよ」
えみり「うっるさいわねぇ~?あんたもあんたでボサッとしてないで早く買って来なさいよ」
その様子を遠目で見詰めるノアはくすくす笑っていた。
ノア「あっははは(笑)」
Monrika「ノアちゃん笑ったらあかん。可愛そうやん(笑)」
ノア「そうは言っても笑えるものは笑えるんだもん」
ノア「てゆーか門ちゃんだって笑ってるのに私だけ悪者にみたいに言わないでよ」
Monrika「笑てないわ!!人聞きの悪い事言わんといてや」
ノア「嘘!!!絶対笑ってたもん!!」
Monrika「笑ろてへん笑ろてへん!!」
ノア「えぇぇ~~絶対笑ってたよ」
Monrika「笑ろてません!!?」
Monrika「つか、そないな事どうでもええわ。それよりうちはそろそろ動くし…ここは任せたで」そう言うとモンリカは席を立ち入口の方に向かって歩き始める。
ノア「OK頑張ってねぇ~門ちゃん(笑)」モンリカは背中でノアに任しときと答えると…会場を出る。
時を同じくして…浜谷美波は空を眺めながら考えていた。
美波「君はさ…これ見てどう思う?」
?「ん?これって?」
美波「これだよこれ」そう言うと美波は呑気にショッピングモールの方を指差す
?「どうって?ショッピン…グモー…ル??」
美波「じゃ無くて私が言ってるのはこっち」そう言うと美波はショッピングモールの横で風船を配るクマの着ぐるみを指差す
?「えっ…とかわいい?」
美波「だよねぇ~?私もそう思ってたんだ?」美波は無邪気に笑うとニッコリ微笑みかける。少年は少しドキッとして顔を背ける。
美波「ねぇ?競争しよっか?」
?「競争?」
美波「そっ!!?どっちが先により多くの仲間を見付けられるか?」
?「えっうん!!」
美波「それじゃ行くよ。よーいどん」そう言うと美波は走り出してその場を離れる。少年は呆然としたが…数秒後に歩き始めた。
その頃…とある部屋の1室では…チーム松田が他のプレイヤーの近況を確認していた。
カチャカチャカチャっ
??「松田さま…スクリーン4で大きな動きがあった様です」
松田るあ「大きな動き?」
??「はっモニターに映します」そう言うと松田の部下は…先程の出来事の一部始終を捉えた映像を見せる。
松田るあ「なるほどなるほどそう来ましたか?」松田はそう言うと立ち上がり顎に手を付く
??「松田さまおそらく森川のスポンサーは不動だと思われます」
松田るあ「今年も懲りずに来たんですねぇ?不動さん?どーせ私に負けるのに。」そう言うと松田はトランプを並べ始める。
??「いかがなされるおつもりですか?」
松田るあ「そうだねぇ~?とりあえず…これを使おうかな?」そう言うと松田は…Aのカードを部下に見せる。
??「かしこまりました。その様に手配します」
??「黒岩」
黒岩「お呼びですか?城前さま」
城前「あぁ…プランβに移行する。準備に取り掛かれ」
黒岩「かしこまりました。」そう答えると黒岩という男は部屋を出てとある所へと向かい始める。
チーム松田…執事室
黒岩「これより作戦内容を説明する。聞き漏らすな」
部下たち「「はい」」
黒岩「我々は現在110の議席を獲得してはいるものの…ラビットケージが座る筈の座席を何者かに占拠された事で…62の座席が無意味となった。」
黒岩「その為1回目の上映でラビットケージが映画館に入室した場合は我々の負けが決まる」
黒岩「かと言って2回目に回せば勝率は半分以下に落ち込む。我々が選挙するスクリーン片側の8番と11番にラビットケージが座る確率はおよそ28%~45%の間だ」
黒岩「これを見てくれ。」そう言うと黒岩はとある資料を部下たちに見せる。
黒岩「これは過去のCROWNJOKERでラビットケージが座った座席の番号だ」
黒岩「傾向からしてスクリーンの上側のG~Pの間に集中している事が多く…その中でもJ~Mの間が多い」
黒岩「そこでプランβに移行し…より盤石な体制を整える必要がある。」
黒岩「ナギサ。あれを持って来い」黒岩にそう言われ一条ナギサはとある物を持ってくる。
黒岩「諸君らにはこれから…各チームの内情を探る為にスパイ活動をして来てもらいたい」
黒岩「ナギサとエリはマリーの監視を」
黒岩「ウランとサラは坂松の監視を」
黒岩「可能であれば彼女等が独占するチケットを奪い…松田さまの元へお届けしろ。良いな?」
部下たち「「かしこまりました」」
その頃…ようやく動き出した(Monrika)は…森川と会っていた。
Monrika「上手いこといったやん?」
森川ミア「にひっ(笑)まぁね?」そう言うと森川はMonrikaに何枚かのチケットを手渡す。
Monrika「ほなおおきにな。うちらはこれでおいとまさせて貰うわ」
Monrika「あんたら行くで。ついてきい」Monrikaのその合図で数十名の男たちが動き出す。
話は少し前に遡る。
森川ミア「お願い!!Monrikaちゃん…この作戦に協力して欲しいの」
Monrika「そう言われてもな?うちらに何の得があるんや?」Monrikaにそう尋ねられた森川はMonrikaの耳元でとある事を呟く。
Monrika「ふーん?なるほどなぁ?」
Monrika「協力したってもええ。但し条件付きや」
森川ミア「条件??」
Monrika「奪った票のうち…2割だけうちにくれへんか?」
森川ミア「良いけど?2割で良いの?」
Monrika「あぁそんで充分や」そう言うとMonrikaはワインを手に取ると一口口に含む。
森川ミア「OKわかったわ。ホントにありがとう」
Monrika「ええよええよ気にせんとき。お互いの為やしな?」
森川ミア「ほんっとにありがとう…」そう言うと森川は部屋を出ていく。
??「Monrikaさま良かったのですか?」
Monrika「うちがええ言うたらええねん」
??「はぁ…しかし我々の取分が2割ではあまりにも少ないような?」
Monrika「心配せぇへんでも後でその票は取り返すつもりやさかい。あんた等は黙って私の指示に従ごうてたらええんよ」そう言うとMonrikaはワインを飲み干す。
そして現在に至る。と言う訳である。
??「Monrikaさま…こちらがあの女の行動パターンを調べたデータでございます」
Monrika「どれどれ?何や?えらいトイレの回数多いな?」
??「おそらく我々に気付かれぬように何からの作戦を練ってるものと思われます。」
Monrika「ふーん?まっ流石にあんたらでもトイレ駆け込まれたら手出せへんからな?」
Monrika「何かええ作戦は浮かんだか?」
??「私に一つだけ提案がございます」そう言うと男はMonrikaに耳元でとある事を呟く。
Monrika「なるほどなぁ~?それええやん(笑)?」
??「恐縮でございます」
Monrika「ほな…とりあえず昼ごはんでも食いに行こか?」そう言うとMonrikaと男たちは複数台の車に乗り込んで何処かへと出かけて行った。
映画の上映本数は6本。上映日まで残り5日間。この間にどれだけ多くのチケットを集められるかがこの1stステージの鍵である。このCROWNJOKERは全部で5つのステージが存在し全てのゲームで集めた得点の合計で勝者を決める。
1stステージの372分の1ゲームは‥プレイヤーたちそれぞれの分析力と洞察力を試し…どのプレイヤーが秀でているのかを見極められる。騙し合いで票を稼ぐも良し…単純に金にものを言わせて票を稼ぐのも良い。ただ金を積めば積むほどプレイヤーの−分が多くなり‥それ以降のステージに大きな影響を及ぼす。
各プレイヤーには予め…50万リラ分のチップが支給されておりゲームに勝利していく事で…チップ枚数を増やせる仕組みとなっている。
例えば1stステージを突破した場合全てのプレイヤーに等しく10万リラ分のチップが支給される。その中でもより少ない出資でラビットケージの席に座れた者はそれとは別に100万メラ分のチップが支給される。
1万メラ=100万リラで換算する為…1stステージ勝利者にはそれだけで1億リラ分のチップが支給される仕組みとなっている。この時ラビットケージの隣に座れなかったプレイヤーに関してはチケットの枚数で順位が決まり…8位までのプレイヤーが2ndステージへと進出できる仕組みとなっている。
スポンサーたちは…自身が応援するプレイヤーに原則として2億リラまで貸し付ける事は可能だが…それ以上の金額を貸し付ける事はできない。その為ゲームで勝利するかしないかでそれ以降のステージでの勝敗に影響がでていき…負ければ負ける程厳しい展開になってゆく。
ちなみにプレイヤーが10万リラを消費する度に−20POINTとみなされて順位に影響がでて行く。例えば同じ262枚のチケットを手にしたとしても自身のお金を全く使わずに勝ち上がった者には−POINTは存在せず…反対にお金をたくさん使い過ぎたプレイヤーにはそれに応じて-が生じる。その為…同じチケットの枚数を所持していても−分の少ないプレイヤーが上位に来るシステムである。
ちなみにこの−分が100POINT貯まる毎にスポンサーの行動に制限が設けられプレイヤーはより厳しい戦いを強いられる事になる。1POINT10万リラで計算する為100POINTで1000万リラという事になる。
つまりスポンサーがプレイヤーに1000万リラを貸し付けると行動に一定期間制限が設けられ…見動きが取れない状態が続くという訳だ。この間あらゆるカードの使用を禁じられプレイヤーとのやり取りも出来なくなる。
現在まで半券獲得数
12スクリーン合計(2564席中)
502席×6=3012席
スクリーン1(502席中)×2(1004席中)
2位(松田るあ)110議席
サイド(93席)中央(17席)
4位(マリー)75議席
サイド(62席)中央(13席)
10位(坂松菜奈)32議席
サイド(32席)中央(0席)
プレイヤー合計206議席
スクリーン2(312席中)
5位(藤井乃愛)66議席
サイド(62席)中央(13席)
スクリーン3(286席中)
3位(櫻井ののか)79議席
サイド(62席)中央(17席)
スクリーン4(309席)×2=(618席中)
1位(森川ミア) 114議席
サイド(99席)中央(15席)
6位(淺谷美玲)55議席
サイド(無効)中央(55席)
7位(Monrika)47議席
サイド(25)中央(22席)
8位(森岡レナ)45議席
サイド(無効)中央(45席)
9位(浜谷美波)35議席
サイド(無効)中央(35席)
11位(愛澤えみり)22議席
サイド(無効)中央(22席)
12位(エンリカ)20議席
サイド(無効)中央(20席)
プレイヤー合計323議席
座席合計(2200席中)
A(10:00)スクリーン2(312席)
B(12:35)スクリーン1(502席)
C(15:10)スクリーン1(502席)
D(16:45)スクリーン4(309席)
E(17:50)スクリーン3(286席)
F(20:30)スクリーン4(309席)
ラビットケージ誘導カード
各プレイヤーのスポンサーが持ってるカードでこれを使う事で…ラビットケージを誘導する事ができる。
但し使えるのは100席以上の席が開いてるスクリーンのみ
(スポンサー一覧)
不動蓮(金融会社社長)(森川)
(IT関連の会社社長)
モナリオ・エヴァ・プラント(Monrika)
CROWNJOKER