周草

周草

草は周りを駆けてゐる
風は背なをおしてゐる
やうに見せかけて前から顔を吹かしてゐる
あと五分、
むいしきにとびでた言葉に
何人かがふりかえる
恥を逃すために頬を染め
ギアを上げる
車輪は丸になったりならなかったりを繰り返して
目を回してゐる
鐘が鳴るのにどぎまぎしながら
がらっとあければ無数の目
零点一秒の緊張をあじわつて
ぽっかり空いてゐる自分の席で
ようやつと急ぐのをやめたのだ。

周草

周草

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted