自殺者のための天国
一、自殺者を愛すること。
一、その愛が届かないのを嘆かないこと。
一、自殺者のための天国を創造すること。
自殺したら天国にいけない、などと説く奴があるらしい。なんとまあ意地の悪い教えなんだ。たとえば貴方が自殺に追い込まれていて、その原因となる人間がいるとする。貴方は自殺して地獄に堕ち、貴方を自殺するに思い至らしめた人間は寿命を全うし、天国に昇る。そんな理不尽に耐えられるだろうか?それが宿命だと受け入れられるだろうか?俺は無理だね。そもそも生者に死者を裁くことなど出来ない。
俺は天国も地獄も信じていない。あえて言うなら、地獄とは心を持った存在のことだ。天国とは心を抛った存在のことだ。どちらにせよ、孤独が平等に振り分けられるだけだ。
俺は愛する。愛されることは好きではないから愛することを愛する。詩にする。愛を拡大し、世界を攪拌する。不在を、不幸を、骨の髄まで愛する。
生と死のあわいを絶えず漂う、俺は幸と不幸の混淆を、世界への憎悪を、生への嫌悪を、死への畏怖を以て自殺者のための天国を創造する。
自殺者のための天国