灯台みたいな真夜中のコンビニ

 ソーダ水のこころ。おちていくビル群。ぐちゃぐちゃにつぶされたのは、花。なまえもしらないだれかの呼び声に、目覚める。雨が降り、みずうみが潤い、よろこぶものがいて、かなしむものもいて、ノエルは、どちらかといえば雨は、好きだと云う。わたしはどうして、女、という性別に生まれたのかを、ときどき、鬱屈な気分でかんがえる。かんがえたって、しょうがないのだけれど。カフェラテを飲んでいるあいだの、一時に、こわれたきみはどうか、安らかに眠れ。
 あたらしい器官がうまれる。
 星のめぐる運命に、従順な生命体。
 今夜は、月がきれいだときいていたのに、あいにくの、雨。
 ノエルが瞬くと、きらきらと光る粒がこぼれて、世界はすこしだけ、かがやいた。

灯台みたいな真夜中のコンビニ

灯台みたいな真夜中のコンビニ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-13

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