残酷な赤

髪を結い浴衣に下駄鳴らし
毎年恒例の神社の祭り
掬った金魚の赤に魅せられ
祠の裏でそっと掌に載せて
じっと息を潜めて見つめる
残酷にも無邪気な瞳は
口をパクパクする姿を最期まで見届け
動きが止まったのを確認したら
砂利の中に隠し
清々しい顔で
母の声の方へ駆け出して行く
手には赤い痣を残し

残酷な赤

残酷な赤

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-12

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