流星ヶ原
なにもない広い原っぱの夜に、夥しい数の流星がよぎった。それだけのことだったのに、たった一瞬で心を囚われてしまった。その時の僕は野犬かなにかのように独りぼっちで黄昏ていたけれど、今までに出会った人たち皆んなが周りで笑っているような気がしたんだ。だから、今がいつまでも続けばいいなと思ってしまった。それからの人生は色褪せたモノクロ映画のようにぼんやりとしていて、瞳を閉じる度にあの流星雨が蘇るんだ。
もしかしたら君にもそんな素敵な思い出があって、戻れるのなら戻りたいと思ったりしているのかな。せめてもう一度だけでも。もしもそう思っているのなら、僕の思い出のなかに君もいたのかもしれない。そして君の思い出のなかに僕も存在していたらいいな。
さあ、出かけよう。今度の日曜の夜に、あの原っぱで、あの流星雨を一緒にみよう。僕たちはもうずっとこのまま変わらずに年老いて、少しずつ世の中に置いてけぼりにされていくだろう。それを多分、永遠と呼ぶんだ。
(それが嫌なら……壊してみせろ!
流星ヶ原