演技嗜好症
酷いじゃないか。何のつもりだ?誰の差し金だ?俺が恨みを買うようなことをしたか?何?何のつもりもない?誰の差し金でもない?誰の恨みも買っていないだと?そんなはずはない。俺に悪意を抱く個人、あるいは集団がいるに違いない。俺を陥れたいに違いない。それしか考えられない。そうでないなら一体何なんだ?こんな不条理があっていいのか?(───不条理でない物事などない。すべては不条理だ。)罪の伴わない罰があっていいのか?(───そんなに罪が欲しいなら、罪を捏造すればいい。それが事実だと洗脳すればいい。)そう、すべては不条理だ。俺は、俺の罪は…
生きていることだ。
俺の罪は生きていることだ。だから俺が生きている限り裁き続けてくれ。罰を与え続けてくれ。俺は耐えられない。罪がないことには耐えられない。罰がないことには耐えられない。罪も罰もない生など考えられない。俺は罪であり罰だ。俺は自ら不条理を体現する。無罪はもはや美徳ではない。悪とは実在に他ならない。善とは虚構に他ならない。罪とは生存に他ならない。罰とは愛に他ならない。(───生まれて…しまったんですか。それなら後は、穢れていくだけです。)死とは、恩寵に他ならない。
俺は世界と傷つけ合いながら複数になっていく。愛とは不条理に他ならない。
演技嗜好症