穿鑿症

愛さなくても愛されるし
愛されなくても愛せることを
誰も信じようとしない

愛を再定義したら
それ以前の愛は
嘘になるのか
無駄だったのか
誰も教えてくれはしない

手に入らないものが
すべからく美しいのであれば
俺は、
与えるだけの人間でいいと思えた

輪郭のぼやけたものを
絶えず思い、絶えず傷つき、
救われようとしている俺は
憐れな道化か

なあ、
いつまで続けりゃいいんだ
それとも
勝手に続いていくものなのか
誰も教えてくれはしない

事実だけを積み重ねて
それだけで生きていきたかった

観念的なものは全部
取るに足らないものさ
そのつまらなさが
唯一の希望だった

何を見ても
ひとりでに手が動いてしまう
何も見なくても、

相変わらずだ
きみの穿鑿症は

穿鑿症

穿鑿症

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-09

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