夜景

手に届きそうで届かない
行けそうで行けない
ここと向こうを区切る深い暗闇
向こうの明るく輝く世界は
その中に入ってしまうと
ただ慌しいだけ
でも遠いここからの眺めは
そこは夢見る世界
体の奥に押し込んである塊
そこから滲み出るものは哀愁
ここからの眺めを忘れない
記憶に深く刻み込む
いつかまた戻ってこよう
ここへ

ここには
生命のあるもの以外のものも住むという
そうだろう
忘れられない向こうの世界
手に届きそうで届かない
美しい世界

夜景

夜景

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-02

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