御伽

 くじらのせなかで、眠る夢をみる。ひとりぼっちのこどもたちが、群衆となる。けれども、さみしいきもちはぬぐえないね、と、金色の瞳をした少年が云う。生物室にいた彼らも、きっと、げんきであると想うし、おおきくて凶暴だけれど、ギガノトちゃんはかわいい。円形の月がおわる頃に、時空は歪み、はんぶんのにんげんはいれかわるので、ああ、もうすぐ、きみとのカンケイも終焉を迎えるのだと。とはいえ、しみじみするわけでもなく、すでにすこしだけ、つぎのきみのことを考えている。ふかふかのカステラに、歯をくいこませながら。

 あのさ。
 ひとりでいても、だれかといても、さみしいきもちはあって、でも、それをわるいとは思わないんだ。
 むしろ、さみしいきもちをすべて刈り取ってしまったら、ぼくら、なんににも感動できないひとになっちゃうような気がして。
 それは、さ。
 こわいよ。

御伽

御伽

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-02

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