女王
きれいだったものへの、唾棄、のようなもの。おわりのない、ループ、エンドレス、な、乖離。ただの野原に縛りつけられた、こぐまのために、サンドイッチをもっていく、きみは、現実を憂うことなく、いつもどこか、夢のなかにいるような表情で、あたしを透かして世界を見ている。学校の七不思議を、たのしみながらもこわがっていた、あの頃。焼かれた。女王に。
女王、というなまえの、バケモノである。
夜と朝のあいだの、わずかな時間にしか現れない、いわゆる、レアキャラというやつで、あたしたちにんげんを嘲笑い、狂わせた。混沌を生み、調和をころした。海はいまも、どす黒い色に染まり、街のはんぶんは砂になった。のに、こぐまのいる野原と、その周辺は以前と変わらず、民家が点在し、ローカル線が通り、ひとが住んでいて、こぐまも、せまい世界だけれど、げんきに暮らしている。
こぐまは、スタンダードに、ハムチーズのサンドイッチが好き。
きみのからだのピアスは、日に日に、ひとつずつ増えてゆく。
あたしは好きだった誰かのため、起き抜けに祈る癖がついた。
女王はときどき、あたしたちにメッセージを送りつけてくる。
(目醒めなさい)
女王