『sugarless』
春のひと
ここまできたら、誰ひとり正解を知らない。
何と戦っているのかさえ、解らない。
救われるどころか、報われることも危うい。
時間も資源も目減りして、消耗ばかりするような、到達点の無さ。
誰もスケープゴートにはなりたくはない。
誰だって、自身の神話を捨て去りたくはない。
非日常と笑うはずが、気がつけば不穏な日常になっていく。
世界を責めて、世界に責められて、自分自身へ傷をつけることだけ、嫌になるほど上手くなる。
ぼくたちは今、未知にいる。
正解を知ることができないのに、確かに問われている。
そして、どこまでいっても人であることから逃げられない。
ぼくたちは正解を知らない。
でも、答えることはできる。
ぼくたちは敵を倒せない。
でも、学ぶことはできる。
ぼくたちは全てを救えない。
でも、助けることはできる。
あのころに戻ることができなくても、ここから創っていくことはできる。
生きることに精一杯で、未来なんて覚えていられない。
それでも少しだけ、考えてしまう。
荒れた土から、芽ぶくものがあること。
ぼくたちは試されない。
いつだって思い知らされるだけだ。
ぼくたちの弱さを。
そこから始まっていく、強さを。
『sugarless』