碧寄

碧に寄る

葉ゆる着ゆる言の葉を
ただ忌避として嘲けぜり
帰福して夜を待てど
その道を揺蕩うヒレに成り

彼を真似ど、彼に成れず

カヌレに憧れた
ただ深いと思われたいだけだった

ガレヌードゥに憧れた
ただ繊細な人と思われたかった

キュベヌージェへ憧れた
ただ芯に触れていたかった

そして私にあったのは、ただの鏡だった。

裸で何が悪い。大きな口はハリボテか、けれど民の求めるものはそれだった。
そう、現実なんて去勢され、投影されたエンジェルを崇拝する信者の群れでしかなく。
無気力を常に纏った彼らはいつまでも創り話の過去の栄光に縛られて。

自分で引っ掛けたネズミ捕りに引っ掛かる。

自己を謳うのに眩暈がし
自己を謳うのに崇拝し
自己を謳うのに中毒になっている。

所詮はアンシェードに踊らされ
息の切れたユドに殺されて
足のないコムバードに取られてしまうのだ

君の正体が分からなくなる

初めから何もないのに
まるで今日まであったように扱うそれに吐き気を覚えるのは、私だけなのだ
だんだんと夜が来る。
足音が聞こえるのだ、でもまだ遠い。

夕方に差し掛かるこの孤独を貴方にどう説明したりゃいい
人の心など別れない貴方にどう説明すりゃいい
ただの経過に固執して無くなってしまったその一瞬に嘆く君になんて言えばいい

君に水を
貴方に祝福を
彼に呪いを
汝に花を
其方に花弁を
貴女に指先を

血に肉を
映えてはキスを
輝き踊り
花、添えて

貴女に狂い
そして想おう

ガルシェフ=スツーコフの春のベルドトフ
君に在ればゴヤの下し

碧寄

碧寄

君に嘆きたいよ

  • 韻文詩
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-04-24

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