春の名残に/新作短歌

サヨナラは 言わないからね絶対に また明日って ねえそう言ってよ

君去りて 我ただ涙に明け暮れぬ
早や散り初めの桜木の下

誰か教えて スマホのように
心の画像を消す方法を

散りぬれば 見向きもせじか春風よ
素肌の我を置いて去りゆく

母が言う お金がないのよ諦めて
イヤだ私も進学したい

我は風 泊まるを知らぬ流れもの
一夜かぎりの逢瀬と知るべし

あの人と同時に受けたのになぜ私だけ
並んで一緒に通いたかった

ただ我は 春の女神の息吹なり
花のつぼみを 開くが生業

タンポポの種っていいね何処までも
この地離れて 飛んで行けるもの 

あの時の君を救えぬ口惜しさ
我も同じく貧しいが故

卒業や 入学よりも何よりも
あなたのそばに ずっと居たかった

蜂ともに 花を追いつつ旅枕
北の大地はもうすぐそこに

ねえ桜 なんだか世の中見ていると
人でいるのが嫌になりそう

さようなら そうつぶやいて涙する
清き心とその思い出に

ウクライナ 赤き砲火の轟きて
妻の列車は 西に消えゆく

住み慣れぬ桜の国の夕暮れに
なおも夫の電話通じず




 

春の名残に/新作短歌

春の名残に/新作短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-04-13

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