唇が震える

静寂を守れ
監獄の炎はまだ
濡れた髪に土が覆う
雨は降らない

炎が天を突く そのとき
人魚は地を這いずる
濡れた髪に土が覆う
雨は降らない

空に散る火が海を生み出す
赤は海になる
人魚は炎にあぶられる
耐えて
耐えて
いつか

共鳴するには
クジラの話が聞きたくて
肝臓が煮え切ろうと
美味しい水を欲しがって

空になった監獄で
しばしの空腹を思うとき
鉄の足枷がおもりをかける
炎が揺れるとき 天井
ふっ

ああ 合図だ
耳鳴りがこだまする
身が鳥肌を立たせる

ここに 

行く

乾いた唇を再び 
震わせる

唇が震える

唇が震える

現代詩。自由詩。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-04-08

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