花季
新鮮な血を流し続けるうちは腕が錆びない
きみが泣くから澱まない河があるとして
それでも終わる春。
だれも教えてはくれなかった。
青春の青は、青年の青は、
芽吹いた子葉の、青二才の、青。
きみは空の深さに躓いて、踵から開くつぼみに気づけない。
怯えても眠って、せーの、で咲く。次の季節の名前さえ、知らないままに脹らんで。
きみはきみしか知らない色で、
包帯の下からひかりはじめる。
花には嵐、
とだれかが叫べば
嵐に花を、
と風がわらうさ。
(花には嵐、嵐に花を。)
((花には、嵐、嵐に、花を。))
(花には嵐、嵐に花を。)
((花には、嵐、嵐に、花を。))
花季