花季

新鮮な血を流し続けるうちは腕が錆びない
きみが泣くから澱まない河があるとして
それでも終わる春。

だれも教えてはくれなかった。
青春の青は、青年の青は、
芽吹いた子葉の、青二才の、青。
きみは空の深さに躓いて、踵から開くつぼみに気づけない。

怯えても眠って、せーの、で咲く。次の季節の名前さえ、知らないままに脹らんで。

きみはきみしか知らない色で、
包帯の下からひかりはじめる。

花には嵐、
とだれかが叫べば

嵐に花を、
と風がわらうさ。

(花には嵐、嵐に花を。)
((花には、嵐、嵐に、花を。))
(花には嵐、嵐に花を。)
((花には、嵐、嵐に、花を。))

花季

花季

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-04-01

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