月も朧の花散る宵に/新作短歌(2022/03/30)
人の浮世の様々な出来事に疲れたあなたに贈る、愚作の数々をお許しあれ。
膝枕 君はニュースを聞きながら
頬に落とした涙をぬぐい
鶯の初音も聞かず夜桜も
出そびれ今宵は画面の桜で
さみしおす 桜のうちに逢いとおす
都のひとのメール愛しき
コロナ禍の 上野の桜の擦れ違い
マスクする人皆美しき
( 清水へ 祇園を過る桜月夜
今宵逢う人皆美しき 与謝野晶子)
数百年 津々浦々の霊木の
風雪に耐え咲くその花の見事さ
染井より 色を好みし我なれば
紅の枝垂れの 桜以外は
それは誰 うちのことかと きみ問えば
頷くほかなし この春の宵
やはり春 桜と聞かば夕月夜
きみ黒髪に 揺れるかんざし
酒なくば せめて食いたや長命寺
江戸より知れたる あの桜餅
京都にも名だたる菓子のその中で
おます出町のあの豆大福が
隅田川 徳利片手に酔いしれて
はまりし馬鹿はこの俺様よ
☆ 少しは滅入った気分がましになりました?
え?以前よりもひどくなった?こりゃ失礼。(いずみ)
月も朧の花散る宵に/新作短歌(2022/03/30)