卒業

卒業


卒業式まで、あと一日。



なんだかんだ言って、この学校で過ごした三年間は楽しかった。
入学した時は不安しかなかったこの学校生活も、今じゃ輝くような『宝物』だ。
嬉しいことも、悲しいことも、たくさんあった。しにたいと思ったときもあった。



でもそれ以上に、この学校で過ごした三年間は楽しかった。


私の最後の心残りといえば、「告白」だ。


入学式の日に一目ぼれした「彼」にまだ思いを伝えられていない。
まあ、伝えられずに終わりがくるのだろうけど・・・。
彼は私に生きる希望をくれた。彼は私にたくさんのことを教えてくれた。彼のくしゃくしゃな笑顔が大好きだった。でも、彼の行く大学は私の行く大学とは違う都道府県にあるのだ。あきらめるしか、ない。彼とはもう一生会えないかもしれないのに。
昔彼と遊んだときに約束を交わした。20歳になったらまた会おうと。覚えられていないとおもうけれど。



このままだと、彼が行ってしまう。



彼に、私の思いを伝えられないまま、終わってしまう。


そんなの、嫌だ。


「・・・どうしたの?泣いてるのか?お前。」

「・・・ないて、ない。」
彼が目の前に来てしまった。タイミング、悪すぎ。
「嘘だよ、泣いてるじゃん、こんなに。」

「う、うるさい。泣いてない。」
お前のせいで泣いてるんだ、バカ。



「・・・もう会えないかもしれないんだから、今日ぐらい笑顔でいろよ?」
もう、会えないの?あんたは覚えてないの?あの約束を。
・・・あ、やばい。



気持ちが、



溢れ出す。


「・・・せいだ・・・・。」



「・・・え?お、俺?え?ってか最初なんていった?」

「・・・なんでもない・・・。」

「そうか?それより・・・20歳の時どこにする?」



「え?」


「えじゃねえよ。忘れたのか?約束。」
あ・・・。覚えていてくれたんだ・・・。



「覚えてるよ・・・。」

「約束守ってくれるか?」

「あたりまえじゃん、約束だもんね。」

彼は私の大好きなくしゃくしゃな笑顔で笑ってくれた。

「・・・なぁ、お願いがあるんだけど。」

「ん?」


「20歳まで、待っててくれねえかな。」


「・・・え?それってどうゆう・・・。」


「一人前になったら、ちゃんと金稼げるようになったら、お前に言いたいことがあるんだけど・・・それまで待っててくれるか?」


ああ、なんだ、彼は、私と同じでいてくれたのか。


純粋に嬉しかった。


「・・・ってる。」



私の答えは一つだよ。







「待ってるよ。」





明日は卒業式。


また一つ『宝物』が増えていく。

卒業

またもや短編すぎる短編。ってかみじけえ!って感じですた。とある卒業曲きいてたら書きたくなりました。

卒業

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-15

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