むかえる

白檀の匂い
シャンプーの匂い
柔軟剤の匂い

土の匂いが立ちのぼる

春がにじりよってくる

ゆで卵の黄身へ
花の色を見た日に
一番風が吹きぬける

吹かぬ地の
黒い峰が明るくなれば
薄暮
スナック通りの看板が灯る

ソファの下から
24日付けのクーポン券が転がり出る

フロントガラスの
真っ白い湯気が忘れられないのだ

ひとつずつ
またふたつ

朝をくりかえす

むかえる

むかえる

季節の変わり目にいろいろなものをお迎えするうた

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-25

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