知らないもの⑥

ー次の日ー
げんなりとした顔で顔を洗う。
かなり不細工だ。

「あー、なんか疲れ取れない。」



教室へ行くといつも通りの風景が見える。
友達が輪になって話している。

HRギリギリにくる雪妃ちゃん。
誰も目を合わそうとはしない。
合わすどころかクスクスと笑ものにする。

ほとんど話すことはない。
ぼーっと授業を聞いて時々寝てしまう。
時々話しかければ綺麗な笑顔で笑い返してくる。

どこか良からの視線が痛い。
当たり前か。

放課後、私は咲紀くんに呼ばれた。
また説教だろうか。

「よくきたなあ。」
二カッと笑う咲紀くん。
不気味だ。

「今日は良から話だと。」

スッと良が私の前に立つ。
ニコニコとした顔だ。

「お前さあ、妃雪さんの気持ち考えてる?」
そんな言葉だった。
どういう意味なのだろうか。

「お前、もし、妃雪さんを護るなら、迂闊に声かけんなよ、
笑顔で返してくれるからまだいいもののな。俺ら月神と御影はな、護り役として下っ端なんだよ。」
下っ端?
どういう?

「妃雪さんが死ぬ時、1番最初に死ぬのは、月神か御影だ。次に巫。都路は1番御子神に近い。
それだけ、俺らは下級だ。本当は話す事すら許されないんだよ。もちろん、周りのバカどももな。」
バカどもって、クラスの子たち?
バカ呼ばわり?

「良は、さ」

「ん?」

「良は、それでいいの?つらくないの?人に仕えて、死ぬんでしょ?嫌じゃないの?」

「嫌じゃない。」

「なんで?」

「これが、俺の生まれた理由だから。」
そういい、ゆっくりと笑った。
むかつくくらい綺麗に微笑んで。

知らないもの⑥

知らないもの⑥

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-14

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