知らないもの⑤

「っ!」
ありえないくらい真面目な顔で咲紀くんは言った。
後ろで夏生くんが本から私へ目を向けた。

ーコンコンコンー
「咲紀ー、あのさー・・・ってあれ?」
急に入ってきた男の子は知ってる人だった。
中学、小学と同じだった男子。

「おう、なんだ。」

「あ、取り込み中か?」

「いや、今終わった。良なんだ?」

「いや、妃雪さんの様子どうかなーって。」

「あぁ、熱は下がってるってさ。」
良は普段見せない顔で笑った。
優しく微笑むといのだろうか、

「こいつ、前に言ったやつな!」

「あぁ、なるほど!彩奈だったのか。」
ニコニコと笑う顔はイライラとした。
昔からこの顔は大嫌いだ。

「妃雪さんのこと最近知ったんだろ?だったらお前少しは反省したら?」
良のニコニコとした顔は崩さず、ドスの利いた声が響いた。
怖い。そんな感情が流れる。

「!!?」
確かにみんなに言われ放題で傷ついてる雪妃ちゃんを私は見ているだけだった。
それのことだろうか。

「あー、良、いいよ。何かあったら俺が出ればいーじゃん?」

「・・・咲紀がいいならそれでいいけど。」
良はゆっくりと立ち上がり部屋をあとにした。

「あ、あいつも妃雪守るやつだからなあ。」

「あいつは月神良。あいつは誰よりも妃雪のこと守ろうと必死だよ。」
普段の感じではそんな感じには見えない。

「まぁ、今日はもういいよ、戻れ。」
何故命令口調なんだ、こいつ。

部屋をすぐに私はあとにして指定された部屋へ行く。
中々いいところだ。

知らないもの⑤

知らないもの⑤

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-12-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted