BREAK4

 式を終えた卒業生達が体育館の出入り口から姿を現すと、待ち兼ねたように一二年生が取り囲んで、あちらこちらで黄色い嬌声と笑い声が響いた。
「先輩、制服のボタン下さい!」
「一緒に写真撮って下さい!」
 はらはらと花びらが舞う桜の木々を背景に盛んにシャッターが押され、県大会で活躍した男子バスケ部の主将やサッカー部のストライカーなどは女子生徒にもみくちゃにされて、「勘弁してくれよ~」と困惑した悲鳴を上げている。
 そんなお祭り騒ぎが一時間近く続いた。

 *

「いい、皆? 分かっているわね?」
 美里が三人の同級生に向き合うのと同時に顎が引かれた。
「卒業してしまった”憧れの先輩”に価値などないわ。すぐに次の"憧れの先輩"に世代交代が進む」
「今日明日が勝負よ。売って売って売り捲れ~!」
 そうして彼女の右手が戦利品の山を指差した。

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  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-11

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