従姉と他人の狭間

七瀬 幸

従姉

僕が、幼稚園の頃に突然叔母が息子と娘だと紹介したのは、見た事もない人達だった。
「お前が、みぃ姉の子か?」
と聞いたら頷く。
「ふん!」
嘘だと分かっていたが、何も言わなかった。
3歳上の従姉の沙耶が来た。
沙耶は、その子に親しげに話しかけて、
「あんた、みぃ姉の子やろ!うちと一緒に行こ。」
その子は、沙耶に手を引かれるままについて行った。
着いた先は、親類の家。
「おばちゃん、あけましておめでとう!」
「沙耶、お年玉あげよう。その子は誰や」
「みぃ姉の子やで。この子にもお年玉あげてや!」
沙耶は、何件も親類を回っては、新しい従姉を紹介したようで、帰った時には両手に持ちきれない程お年玉を抱えていた。

沙耶が仲良くなった、新しい従姉はアカネと言う名だった。
沙耶より1つ歳下で、僕の1つ歳上だった。
沙耶が仲良くなった事で、僕も自然と一緒に居る機会が増えてきて、結局3人は大人になるまで仲が良かったが、
ある時から、少しづつ変わって行った。

アカネに彼氏が出来たらしい。
大学生で、優しいと聞いた。
俺は?
あんなに仲が良かったじゃないか!
アカネの口から、彼は優しいよと聞くのは、腹立たしかった。
何故だか分からない!なんだか盗られた気分で腹立たしかったのだ。
俺は、俺なりに仲良くやりつつも、少しはアピールもしてきたつもりでいたが、伝わらなかったのか?
虚しい気持ちが押し寄せてくる。
俺は、弟でしか無かったのか?
何年越しの恋だと思ってるんだ!
頭の中で何もかも、投げ出したくなってしまう。

他人

「アカネの事好きや!」
一度だけ、告白した事がある。
「私も好きやで、なんで私みたいなんにそんな事い言うの?」
アカネの好きやで!は、従弟としての好き!
友達としての好き!のどちらかだったんだろうな…
今、この歳になって解る事が出てきたが、若い頃は
解らなかった。
アカネが結婚する時も、行かなかった。
悲しい思いをしてる時も、アカネは絶対に俺を選ばないような条件を出して、俺の所に来い!と言った。
子供好きのアカネが、自分の子供を手放す訳が無い。
そう……俺は、誰よりアカネの事を見てきた。
だから、アカネが選択肢の中に俺を入れる事は、無いと解っていた。
あの時は、どちらを選ぶか掛けたのだ。
一人の賭け事に負けてしまったが……
それでも、幸せならそれでいいと割り切れた。
その時を境に、自分の幸せを視野に入れ始めたのかもしれない。

今は、俺も家庭を持って幸せだから、昔話の1つに過ぎないが、アカネの事は今も心の片隅にひっそりと残っている

【⠀~完~】

狭間

もしも、違う道を辿ったら
俺達は、一緒にいられただろうか?
もう、終わってしまった話を蒸し返すのは、
辞めよう……
なぜなら、そうはならなかった。
結論として、他人のままなのだから…

従姉と他人の狭間

従姉と他人の狭間

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-10

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