嘔吐
あらゆる願望はすべからく失せ
断続的な嘔吐感は継続的になり
唾棄すべき事柄で視界は埋め尽くされていく
誰か私を知っている人はいませんか、と
誰もいない空間に向かって問いを投げると、空間は
あなたはかつて生きていた人ですよ、
と親切にも応えてくれる
生まれたくなかった、と人間は人間を呪い
生まれたくなかった、と言葉は人間を呪う
言葉と呪い合う人間もいるが
人間に勝ち目はない
自分から逃れたかった、然しそれは
死を意味していた、意味から逃れたかった私は
朦朧とする意識の中、孤独に詩を書き始めた
嘔吐