対極

 おわりのない夜に心臓をさしだすあのこ、は、すこしだけ神さま。

 とぶ。

 ビルのむこうに、月があって、ぼくを、呼んでいた気がした、ので。新人類、という名の、月の住人が降り立つ頃に、また、星は一瞬の眩暈で、歪む。てのひらをみせて、きみのまつげに、光が宿り、しなやかなからだに、蝶を纏う。架空を泳ぐのは、尾びれの長い熱帯魚。あいすることをわすれたのは、つめをかんで、しらないだれかを妬み、あいされることをまっているひとびと。病んでいる、世界の、けれど、うつくしい部分を削り、剝ぎ取って、ぼくだけのきみにしたい。

対極

対極

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted