対極
おわりのない夜に心臓をさしだすあのこ、は、すこしだけ神さま。
とぶ。
ビルのむこうに、月があって、ぼくを、呼んでいた気がした、ので。新人類、という名の、月の住人が降り立つ頃に、また、星は一瞬の眩暈で、歪む。てのひらをみせて、きみのまつげに、光が宿り、しなやかなからだに、蝶を纏う。架空を泳ぐのは、尾びれの長い熱帯魚。あいすることをわすれたのは、つめをかんで、しらないだれかを妬み、あいされることをまっているひとびと。病んでいる、世界の、けれど、うつくしい部分を削り、剝ぎ取って、ぼくだけのきみにしたい。
対極