安寧を願う

 膿。あふれて、腐り、爛れる。生命体はときどき、あいすることをわすれて、ためらいなくナイフをいれる。母星(ほし)に。
 幽霊船が浮いてる。夜の海で、だれかを待っている。ぼんやりと光ってる。青白く。あたらしい皮をてにいれた、せんせいが、ヒステリックに叫ぶのは、雲ひとつない夜明けの空の日。ぼくとともに、無慈悲な争いの終焉を祈るのは、人類が失いかけたものをたいせつにしている、かなしきカイブツ。こもりうたは寄り添うように、傷ついたひとびとを癒やしてくれる。あたたかい、血液。みんな等しく、ながれているはずなのに。

安寧を願う

安寧を願う

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-02

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