君へ
君へ
私は青空の下にて
手に入れた劇薬を
燃やしてしまって
強い向かい風に吹かれて
うまく呼吸が出来ずにいた
何故だかそれが愉快だった
生きてきた道のりを測るより
ここから先に思いを馳せたい
けれども靄がかかり霧がかかり
この先を真っ白に不明瞭にして
私のプランは当てにならないまま
楽観と悲観
期待と不安
夢と妄想の華々しさ
横目に見る現実の顔色
私はもう歩むと決めていたのに
お守りの劇薬を燃やしてまで
この先を行こうと決めても
足は未だに動かないまま
怯えて恐れて泣いている
大人になったり
子供になったり
忙しくしながら
何もかわらない
戻ってこいと言う
いつでもここへ、と
友からの手紙が風に乗り
私の胸に届いていた
「お前の夢は私も見ている
互いに互いを理解できなくとも
世界も自分も理解し合えなくとも
それを孤独とは呼ばせない
芸術なんてそんなものだ」
友の声が手紙から響いている
風の音が強くなっていく
私は泣きじゃくり
私は大笑いをして
再び自分の足で立ち上がった
大人でもなく子供でもない私の
未知と不安に満ちた道のりを
友よいつか君に教えてやろう
私は果てのない命を
このために燃やすと
決めた今を忘れない
君へ