黎明

 わたしたちが空気となるとき。おちる。地球(ほし)に、悪意が蔓延って、腐っていくのが二千年代。まよなかに、チョコレートを貪り喰う所業を、ゆるしてくれるのは、わたしだけ。にんげんのために、まっとうなにんげんをつくろうとしているのが、にんげん、という狂気。きらいにならないでほしいと思う、わにちゃんが、歪みしかない現代社会に咬みついても、どうか、わたしのことだけは、きらいにならないでねと祈る夜に、つけっぱなしのテレビからは、銃声。うまれかわる。ノエルが、有機物でなくなったとしても、愛せる自信はあるから、わたしはきょうも、目覚める。

黎明

黎明

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-27

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