【浮浪と永住】Chapter 2 初めてのこと

初めてのこと

Chapter 2

数ヶ月が経った
特に変わらない、平凡な日々が続いているように思えた
しかし、家庭での色々の諸事情により私の心は段々と病に蝕まれていった
そのことは誰にも言えない
言わない方がいい
そうやって自分を押さえつえていたのであった
そんなことして健康に良いはずがない

希望が見えない
ずっと暗いトンネルを手探りで歩いている状態が続いていた

そんな日々が続く中、
私宛にメッセージが届いていた

"久しぶり!元気?3年A組のまおだよ。実はある人からはとちゃんの連絡先を教えてもらいたいって言われてて、、、その人はわたしたちの高校のの春山誠治先輩!知ってるかもだけど、俳優をやっている人だよ。どうしても話したいことがあるんだって!教えていい?"

こんなん教えるに決まってる
大好きな俳優さんなのだから
こんな奇跡みたいなことある?!
私はドキドキしていた
正直、学校の授業など上の空だった
色々な妄想もした
嬉しすぎる!!!体がふわふわ浮かんでいるようだった
というか、なんでまおちゃんあの人の連絡先知ってるんだ?
冷静に考えてみたら、どうして私の連絡先知りたいんだろう?
まおちゃんが私のこと何か話したのかな?
そんなフラフラした足取りで家路についた


玄関のドアを開けて、自分の部屋にたどり着いた頃、ちょうど新着のメッセージが来ていた
まさか、これはあの人からなのか!?
恐る恐る見てみると、やはりあの先輩からだった

先輩と言っているが、かなり歳は離れている
親子まではいかないが、そのぐらい
ベテラン俳優さんに近い、人気の俳優さんだ
先程も言ったように、歳がかなり離れているので、私は妄想の中でその先輩ことを○○先輩ではなく、最初は春山さんと呼ぶことにしていた
久々の胸が躍る感覚からか、そんな想像ができるまでになっていたのは自分でも驚きだ

やっとの思いでメッセージを開く
"はとちゃん、はじめまして!春山誠治と言います。俳優をしています。突然連絡先を聞いてしまってすみません。でも、どうしても伝えたいことがあってメッセージを送ります。

実は、ネットの匿名の掲示板の書き込みがどうしても気になっていたんです。僕が出た映画の感想をかなり濃い密度で書いていて、それを読んだ時めちゃくちゃ嬉しかったんだよね。

それを読んで数日経った後、高校の部活の後輩だったまおちゃんにOG・OB会で出会って、はとちゃんのことを熱弁してくれて。その話を聞いた時、その掲示板に書いてあった内容と、まおちゃんが言っていたはとちゃんの映画の感想がかなり似ていて。まさかと思ったんだけど、その投稿のハンドルネームは「H. A.」で、まおちゃんから聞いたはとちゃんの本名のイニシャルだったからもしかしたらと思って連絡しました。

合ってるかな?突然こんなこと聞かれてもびっくりしちゃうかも知れないけど、よかったら返信してくれると嬉しいです。

春山誠治"

これは、やっぱりそうなのか、、、!
まさかすぎるの展開
少女漫画かよと言わんばかりの話
どうしよう、なんて返すのが正解なんだろう
とにかく早く返信しないと失礼だと思って、急いで内容を考えた

"はじめまして!はとです。まさか春山さんに直接連絡いただけるなんて夢にも思わず、言葉にできないくらい嬉しいです。

春山さんが言う通り、その掲示板に映画の感想を投稿したのは私です!!!読んでくださったのがまず嬉しいし、そのあと連絡してくださったのがさらに嬉しいです。本当にありがとうございます!!!"

"そう言ってもらえて嬉しい!!!ありがとう!!!ちなみに、僕のファンでいてくれてるって聞いたんだけど、ラジオとかも聴いてくれてる?"

"もちろんです!!!毎回聴かせていただいてます!!!春山さんのラジオめっちゃ好きです"

"そうなんだね!実はこのことはとちゃんの名前は伏せて次の放送で話したいんだけどいい???このことをリスナーのみんなにもシェアしたくて"

"そんなことあっていいんですか!?もちろんいい意味で!是非、お話ししてください!その回、絶対に聴きます!録音もします!多分自分のこと話してくれてる間、恥ずかしくて赤面してると思うんですが笑"

"僕がいうことじゃないけど、恥ずかしがることないよ。本当に嬉しかったから、誰かに共有したかった。でも、それには本人に確認しないと思ったから。"

"是非!!!放送今から楽しみです!!!"

"楽しみにしてて!"

Chapter 3へ続く

【浮浪と永住】Chapter 2 初めてのこと

この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

【浮浪と永住】Chapter 2 初めてのこと

  • 小説
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  • 恋愛
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更新日
登録日
2022-02-20

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