ある夜のスケッチ
恥のなくなった時代だ!
俺が愛してやらなくちゃ
俺が可哀想じゃないか!
ジジイが喚き散らしている。
「想」にアクセントがついていた。
本当に醜いジジイだった。
薄暗い店内、オレンジの
ライトに照らされた顔は
痩せて落ちくぼんで
黄金バットのようだった。
——コウモリだけが知っている——
誰がこんなジジイを理解しよう?
素面ならまだしも
酒を飲んで妄言を吐くな!
刺身やサラダなんかが
腐っていくのもうんざりだし、
店員のブタに餌をやるような態度
と言っては養豚屋に失礼だ、
居酒屋の店員のような態度にも辟易だ。
本当にもううんざりだ。
年老いて、酒に酔って
わめき散らしている俺は醜い。
痩せこけた顔は
黄金バットみたいじゃないか。
——コウモリだけが知っている——
誰も俺を理解しない。
俺が、消えてなくなってしまうんだぞ。
ある夜のスケッチ