湿気の魔女。
深夜1時。
妖しい光を放つ自動販売機の前に、濃紺色のコートを着た集団がいた。
全員、フードを目元まで被っている。
濃いカルピスを片手に、何やらひそひそと話している。
彼女達は、「湿気の魔女」というカルト集団だ。
だからと言って、魔法は使えない。魔女になりたい女達のごっこ遊びのようなものだろう。
今は「湿気の魔女集会」と呼ばれる、定期的に開催される集会を行っている。サバトのようなものだろう。
議題は、推しについて。好きな人から、2次元、ドラマのキャラクターまで、女達の話題は尽きない。
暗い夜道、突然出会ったらぎょっとするだろうが、彼女達のやっていることは女子会と同じだ。
7、8人の魔女達によって作られた円の中心に、濃紺色のコートを着た女の死体が転がっていること以外は。
最後に、これはただの都市伝説だが、湿気の魔女集会を目にしたのがバレた者は、問答無用で殺されてしまうらしい。
湿気の魔女。