短々落語「太陰暦」

400文字以内のショートショート落語臭

「太陰暦」

(えー我が国の太陽暦(たいようれき)採用は浅く(さいよう  あさ  )何でも明治5年からだそうで、それ迄は(まで  )ずーっと冠婚葬祭(かんこんそうさい)、日々の暮し(くら  )太陰暦(たいいんれき)が中心でして…)

ていへんだ、ていへんだ、ご隠居(いんきょ)

どうしたんだい、八つ(はっ  )ぁん、そんな慌て(あわ  )

うん、熊さ(くま  )んから聞いた話だ、(むかし)(こよみ)では何でも今日が正月になるんだって?、それじゃもう一度、お年玉を貰え(もら  )るっていうのかい?

おいおい八つぁん、大の(だい  )大人(おとな)がお年玉はないだろ、お前さん何かい、いい歳し(とし  )てまだお年玉を貰っ(もら  )ているのかい?

いや、ご隠居、おかみさんにお年玉くれっていったら、お年玉じゃなく大目玉をくらったよ、でそんなことはどーでもいいんだ、でだ、ご隠居、此間(このあいだ)の正月は一体(いったい)何だっただい?

八つぁんよくお聞き、先の(さき  )正月はね、お天道様(てんとうさま)で一日を測る(はか  )太陽暦での正月、で今日は、お月様(つきさま)の満月の周期(しゅうき)で測る太陰暦の正月じゃ

ご隠居何かい、お天道様の太陽暦とその太陰暦の一月(ひとつき)ってのはそんなにも違う(ちが  )のかい?

そりゃ八つぁん、月とスッポンだよ

短々落語「太陰暦」

お後がよろしいようで。

短々落語「太陰暦」

(えー我が国の太陽暦の採用は浅く何でも明治5年からだそうで、それ迄はずーっと冠婚葬祭、日々の暮しは太陰暦が中心でして…)、その顛末やいかに。400文字以内のショートショート落語臭。とても短い創作落語。原稿用紙一枚(20×20=400文字)程度だから、およそ60秒で読める「一分落語」。爆笑は期待できないが、じんわりとくる面白新作落語臭。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-16

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted