きみもアーティファクト
ほんものは、いつも、どこかに埋もれていて。うその表層。わたしたちは踏みしめる。アスファルト。人工物の無臭になれて、自然のにおいに違和感をおぼえる。にんげんがつくったものを愛でているのに、ときどき、そのつめたさにうんざりして、漠然と、地球をたいせつにしたいと思う。軽薄な思いつき。あのひとが、わたしの手を握るときの恭しさに、苛立った。(だいすきなんだから、もっと、ひどくしてくれていいのに)
感情が死んでも、義務的に、肉体は生きていて、意識はなくても、惰性的に、心臓は動いていた。あのひと。
デジタル化の進んだ街で、土から芽吹く花は朽ちて、ホログラムの装飾だけが、無駄にきらびやかに、そこにあった。
きみもアーティファクト