降る雪
冬の心臓。つめたくなった肉体のなかで、澱みなく刻む。生命。白く。雪。海に溶けて。まじりあう血液と、融合する細胞と、あいすることをわすれたきみと、じぶんたちの星をじぶんたちで破壊している、にんげんの矛盾と、慈しみが生んだ牢獄と、それらに付随するバッドエンド。恋、などという大層な感情とは決別して、はやく、わたし、という個体を確立させたい。あなたはやさしい子だからと、憐みを滲ませて、わたしの髪を撫でるひと。きらきらした宝石を砕く罪悪感に、同情をなじる余裕のなさを憂いて、夜はあたたかいスープを飲む。
先生を好きになって、わたしのすべてがぬりかえられて、うしなったものをかぞえるのが癖になった。
二十三時のコンビニエンスストアにも、救いはある。きっと。
降る雪