午前三時の浴室
ひつぎに、星の砂。せつないきもちを生き埋めにして、息継ぎせずに食む。孤独は、いつまでも無色透明。二月の、しとしと降る雨の夜には、輪郭の曖昧な存在が徘徊する。にんげんの、こころのおくそこの、どす黒い液体を抽出してできた、彼らを、慈しむのはそのむかし、ありあまる無償の愛で、すべての生命体を愛していた、ひとびと。夕暮れの、あかね色に染まる、きみの横顔は、いつのまにか立体ではなくなり、見事な平面となり、飾り気のないシンプルな額縁のなかで青白い月の光を浴びて、あやしく微笑んでいる。
浴槽にて。
ゆらゆらしている、世界が。
カレイドスコープをのぞいて、うつくしかったはずのそれらが、片隅から、規則的な形をうしなって、ゆがんで、きもちわるい感じしかのこらない。
てのひら。
水面で、ぶれる。
午前三時の浴室